【小阪裕司コラム第14話】なぜこのイベントがウケるのか

【小阪裕司コラム第14話】なぜこのイベントがウケるのか

カテゴリ:小阪裕司の「人の心と行動の科学」で商売を学ぶ

【小阪裕司コラム第14話】なぜこのイベントがウケるのか

先日、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)の会員であるカーディーラーの店長からご報告をいただいた。この夏のあるイベントに関するものだ。

それは「七夕イベント」。内容は、来店したお客さんに、願い事を短冊に書いて笹の葉に飾ってもらう、オーソドックスなもの。工夫した点は2点。ひとつは、まだほとんど短冊の付いていないところに初日のお客さんが参加する心理的なハードルを下げるため、前日に自分たちが書いたものを飾りつけてスタートした点。

もうひとつは、「ご自由にお書きください」とお知らせするだけでは躊躇するお客さんもいるだろうと、飲み物を出すタイミングですべてのお客さんに声をかけ、テーブルごとに短冊とペンを用意した点だった。

当初はお子さん連れのご家族の参加をメインに 想定していたが、始めてみると予想以上の大好評。
大人のお客さんも「嬉しい」「これ好きなの」と積極的に参加してくれ、七夕を迎えるころには、枝一杯に短冊が付けられて、重みで枝が下がってきてしまうほどの勢いだった。

また、期間中に驚いたことは、あるお客さんから「今日、これを楽しみにして来たの。友人が先週ここへ来ていて、『短冊のイベントをやってて楽しかったよー』って聞いて来たから」と言われたことだ。

さて、ここで考えてみてほしい。
あなたなら地元のカーディーラーがこのようなイベントをやっていて、わざわざそれを楽しみに行くだろうか?

また、七夕の時期、同様のイベントを行う店は少なくないが、どれほど積極的に参加するだろうか?

そして、積極的に参加もするし、楽しみにわざわざ行くだろうと思ったなら、それはあなたにとってどのような店だろうか?

同店は常に、来てよかったまた来たいと思ってもらえる店作りを志向し、トイレットペーパーの端を三角に折っておくことから様々なイベントまで、一年中何かをやっている。また、来店のない既存客とのコミュニケーションも絶やさない。

そういうことが積もると、既存客とは絆ができ、店には温かいムードができる。その証拠というわけでもないが、先ほどまずは彼らスタッフたちが先に書いて飾っておいたと言ったが、それをお客さんに告げたところ、「本当ですか!」と、彼らが書いた短冊を楽しそうに探す姿も見られたという。

ここで大切なことは、どんなイベントがウケるかではない。どんなイベントでもウケるような商いの土壌を、日ごろからどう耕していくかということなのである。

小阪裕司

小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)

山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。

会員制サービス
「CaSS
(Car-business Support Service/キャス)」
に関するお問い合わせ

お申し込み方法やサービス内容、その他ご不明な点などがございましたら、
お気軽にお問い合せください!

  • 03-5201-8080
  • お問い合わせフォーム