【小阪裕司コラム第24話】ネットショップで絆を作る

【小阪裕司コラム第24話】ネットショップで絆を作る

カテゴリ:小阪裕司の「人の心と行動の科学」で商売を学ぶ

【小阪裕司コラム第24話】ネットショップで絆を作る

ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のあるネットショップからのご報告。

同店は、実店舗と楽天市場などのインターネットモールで主に洋服を売っている。
この度ワクワク系を始め、まずはお客さんとの絆作りへの第一歩を踏み出した。

その内容は、発送する荷物の中に社長や店スタッフの自己紹介などを書いたニューズレター(お客さんとのコミュニケーションツールとして、ワクワク系で奨励されているもの)を同梱配布した、というものだ。

報告書にはその現物も資料添付されているが、自己紹介シートはイラストによる社長やスタッフらの似顔絵が可愛い、実にほんわかした温かい雰囲気のもの。

なんでも、絵が上手なスタッフが書いたとのこと。これを荷物と一緒に送るようになってから、お客さんからこれまでになかった嬉しいレビューを多く送られるようになった。

その一部も資料添付されていたが、
「商品もgoodでしたが、それ以上に皆さんの自己紹介のリーフレットは最高でした」
「あたたかいお店なんだなあと思いました」
「読むと実店舗にも行きたくなりました」
といったものだ。

その他にも、商品交換(サイズ交換)の際に、お客さんから気遣いのお手紙とスタッフ人数分のホットアイマスクが同梱されていたという嬉しい出来事もあった。

取り組み始めたことはささやかなことだが、ネット販売という顔が見えない商売でこのようにお客さんの行動に変化が起こってくるとは、店主も想像以上だった。その変化に今、彼は嬉しい驚きを感じている。

また、もうひとつの驚きは、自分を含めたスタッフにも変化が起こって来ていることだ。
例えば、今まで上顧客以外は特に手紙の文言に変化を加えることはなかったものが、スタッフ自ら購入回数を調べ、手紙にそれぞれのお客さんに向けた感謝の一言を書き加えるなど、頼もしく嬉しい変化が起こって来ているという。

絆作りはネットでも可能か――これはよく聞かれる問いだが、その答えはこの事例にある。
相手が人である限り、実は行うべきことは変わらない。
そこには共通した法則があるからだ。

また、今回の事例からより学べることは、その疑問をおそらく少しは持ちながらも「この取り組みが良いのではないか」と思ったら、ささやかなことからでもまずやってみる彼らの姿勢にある。

そして、その姿勢と絆作りのもたらす効果が相まって、職場に”働く愉しさ”が生まれて来るのである。

小阪裕司

小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)

山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。

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