【小阪裕司コラム第28話】つけるべき力をつける

【小阪裕司コラム第28話】つけるべき力をつける

カテゴリ:小阪裕司の「人の心と行動の科学」で商売を学ぶ

【小阪裕司コラム第28話】つけるべき力をつける

私が長らく主宰するワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)には、「企業」としてでなく、「個人」で入会している方がいらっしゃる。
会社はまだワクワク系をオーソライズしていないが、自分はこれを学び活用したいと思い、行動する方々だ。

そんなお一人、あるカーディーラーの店長さんからのご報告を、今日はご紹介しよう。

彼からの報告には、昨年からのワクワク系の取り組みが実ってきた今年度上期の業績があった。まずは中古車販売実績だが、目標対比118%、前年比で181%の伸び。ここで彼が注目しているのは、数字以上にその中身だ。

昨年度は、中古車センター出身の中古車販売が得意なスタッフ一人に頼った状態で、彼の調子次第で店舗実績が浮き沈みする不安定な状態だった。

しかし今年度は全員がまんべんなく中古車を売れるようになってきた。特に昨年度上期、1台も売ることができなかったあるスタッフが今年は8台も売ることができており、全員が力をつけていることが伺える。

もちろん、彼らについてきた力は中古車の販売力だけではない。

ワクワク系で言う価値創造力、彼らの現場に落とし込んで言えば、商品やサービスの価値を的確にお客さんに伝え、値引きに走ることなく、正当な対価で売る力全般がついてきているだろう。

また、ワクワク系で言う顧客創造力もついてきているだろう。今年いただいた別の報告には、他社より高い見積もりだったにも関わらず、日ごろ育んでいる顧客との絆のおかげで、値引き合戦にならず販売できた事例もあった。

また、彼が特に強調するのが、昨年の取り組みとの大きな違いだ。

昨年の取り組みはおよそ店長である彼が考えて指示したもの。
しかし今年の取り組みのほとんどは、スタッフそれぞれが考えて打った手立てや、全員で日ごろから取り組んでいることの結果として現れたものだ。

そうしたスタッフ各々の成長の結果、今年度上期、会社全体では目標未達という厳しい状況の中、彼の店は109%の目標達成率で全社1位。

その達成率を大きく支えたのが、新車販売の利益率の高さと残価型割賦販売の付帯率の高さで、これらも全社1位。そして中古車販売も前年比181%。その結果、全14店舗の中で今年度上期最優秀店舗となったということだ。

人がつけるべき力をつけること――それが今日最も重要なことだ。そして、ワクワク系を学び活かす会社や人と20年近く接してきて思うことは、ワクワク系の実践のような活動が人を伸ばすということだ。その結果こそが会社の業績となるのである。

小阪裕司

小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)

山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。

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