【小阪裕司コラム第44話】希望の商い

【小阪裕司コラム第44話】希望の商い

カテゴリ:小阪裕司の「人の心と行動の科学」で商売を学ぶ

【小阪裕司コラム第44話】希望の商い

ワクワク系(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を、われわれはそう呼んでいる)を全国に展開する事業は今、経済産業省の認定を受けている。

その事業名は「ワクワク系新プログラムによる、サービス業の生産性向上、企業力底上げ、“希望の商い”全国展開事業」というのだが、この「希望の商い」という言葉は、実はワクワク系マーケティング実践会の会員企業からいただいたものだ。

それはちょうど前回の当コラムでご紹介したクリーニング店だが、店主が当会の20周年を期に、ご自身の“あの時”を振り返ってレポートをくださった。

長らく実践会と共に歩んでくれている彼だが、実践が進み成果も出て、新たな店の姿が見えてきた彼は、あるときゼロから新しい店を作ることを決断した。

そのために大きく資金も借り入れ、プランを練りに練ってついにオープンの日を迎えたのだが、その日は「2011年3月15日」。

そう、東日本大震災の4日後だった。関東にある同店も、もちろんその影響は免れず、彼の言葉にはこうある。「一生で一番の記念すべき日なのに、ガソリンがなくなり、計画停電があり、世の中全体が自粛ムードになったので売上はガタ落ちでした。

そして気がつけば大きな赤字を出してしまいました。その影響は3年続きました。このときは、僕にとって人生で最も辛かったときだと思います」。

「ただ、確かに売上が減り、資金繰りが苦しかったのですが、不思議と不安がなかったのです。ワクワク系さえ続けていればいつかは回復する、そう思えたのです。ワクワク系の考え方で商いをやっていると、お客さんが喜んでくれるのです。その顔を見るたびに、この人たちはこの店を潰さないだろうと感じたのです」。

念のため言うが、ここでの「ワクワク系さえ続けていれば」は、彼がワクワク系を妄信していたという意味ではない。彼自身がそれまでの実践を通じて得ている結果と手ごたえ、実際の顧客のリアルな姿と数が、この思いとなったのだ。

そしてレポートはこう続く。

「それが僕にとって希望だったのです。その希望が僕を支えたのです。だから、僕はワクワク系を希望の商いと呼んでいるのです」。

商売や仕事をしていると、自分にはどうにもならないことが起こることもある。

しかし彼は言う。

「どんなに現状が厳しくても「希望」があり「仲間」がいることは最強です」。

ワクワク系を、全国の仲間と共に実践し、あなたのような方々と分かち合い続けて、20年となる。我々は、何があろうとも歩み続ける。

希望の商いを広め続ける。世の中がどんなに変化していこうとも、その先にまた世界は待っているのだから。

小阪裕司

小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)

山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。

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