【小阪裕司コラム第50話】なぜこのGW、柏餅が前年比139%なのか

【小阪裕司コラム第50話】なぜこのGW、柏餅が前年比139%なのか

カテゴリ:小阪裕司の「人の心と行動の科学」で商売を学ぶ

【小阪裕司コラム第50話】なぜこのGW、柏餅が前年比139%なのか

前回、緊急事態宣言下で午後8時までの営業であるにも関わらず、売上を前年比150%と伸ばした飲食店のお話をした。今回は、餅や赤飯、おはぎなど餅米を使用した商品を製造販売しているあるお店からの、ゴールデンウィーク(以下、GW)の出来事についてのご報告だ。

今、私が主宰しているワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)には、コロナ情勢下での各社の実践報告が続々寄せられており、その数、すでに百数十件。

同店からのものもそのひとつだが、同店では例年、4月も末に近づくと、端午の節句に「柏餅」・「ちまき」・「黄飯(きいはん:黒豆を入れ、クチナシで着色したおこわ)」の販売をしてきた。

ただ今年はイベントも自粛のご時勢で、なかなか予約も入って来ない。逆にキャンセルの方が出てしまい、「今年はどうなるだろう?」と、店主は不安に思っていた。

そんななか、お客さんから「GWって営業されますか?」という問い合わせが。

「こんな状況だから営業していることも知らないお客様が多いかも」と思い、まずは普段からつながりを築いてきた絆顧客へお店が営業していることを連絡すると、ほとんどのお客さんが電話先で「休みかと思っていました」と言う。

さらには予約も入り始め、この反応に安心した店主は、LINE@やFacebook、インスタグラム、ブログなどを通じ、「お客様のおうちじかんを、当店製造の『柏餅』・『ちまき』・『黄飯』で心豊かな一時をお過ごしください」との趣旨で、一斉にお知らせした。

一方で普段の年なら参加しているGWのイベントも中止となり、今年の売上は読めず、ことさらに集客を図ったわけでもないが、気がつくといつもより大いに忙しいGWに。

特に5月5日は次から次へとお客さんが来店し、休む間もない状態に。

結果、GW期間は連日前年を超える売上となり、5日にいたっては過去最高。
トータルで前年比139%の売上となったのだった。

私は長年、現代のお客さんが最も求めているものは「心の豊かさ」であると説いているが、今回のお客さんの動きを見てそれを実感したと店主は言う。

また、私が5月2日のウェビナーで
「アート(心豊かに、生きる悦び)はなくならない!!」
と言ったことに触れ、彼からの報告はこう締めくくられていた。

「こんな時期にたくさんのお客様に悦んでいただけたことと、この先生のお言葉に、今まで募っていた不安と憤りが溶けました」。

確かに、「柏餅」や「ちまき」は不要不急だろう。
しかし人はパンのみにて生きるにあらず。
そして実は多くの商売は、そこをこそ担っているのである。

小阪裕司

小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)

山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。

会員制サービス
「CaSS
(Car-business Support Service/キャス)」
に関するお問い合わせ

お申し込み方法やサービス内容、その他ご不明な点などがございましたら、
お気軽にお問い合せください!

  • 03-5201-8080
  • お問い合わせフォーム