【小阪裕司コラム第61話】名刺に書くべきは名前だけじゃない

【小阪裕司コラム第61話】名刺に書くべきは名前だけじゃない

カテゴリ:小阪裕司の「人の心と行動の科学」で商売を学ぶ

【小阪裕司コラム第61話】名刺に書くべきは名前だけじゃない

今日は名刺の話をしよう。ワクワク系(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を、われわれはそう呼んでいる)の、ある美容院でのお話だ。

一般的に名刺は初対面の人に渡すものだが、そこには通常、社名、氏名、会社(などの)住所、メールアドレス、HPアドレスなどが書いてある。

この美容院オーナーの名刺もご多分にもれず。店をオープンしたときに作った名刺だが、表面は店名、氏名、店住所、電話番号、彼の似顔絵など。

裏面はお店の地図になっている。彼曰く、「この名刺を作ってくれた業者さんもすごくいい業者さんで、十分に満足していた」。実際私も資料に添付されていた現物写真を見たが、これといって問題のない、十分な名刺である。

しかし彼はその後違和感を持った。

ワクワク系を学ぶにつれ、これはワクワク系的には少し足りないんじゃないかと思ったのだ。
彼がそう思う背景には、ワクワク系の方々が、以前からずっと一般的ではない名刺を作り、活用してきた歴史がある。

ではその名刺とはどういうものなのか。実際に彼が今回作り直した名刺を見てみよう。

今回作り直した名刺は、表面は大きく変わらない。しかし裏面は、以前とはまったく異なる。
そこには彼らの自作のゆるキャラが描かれており、そのキャラの言葉で「〇〇(オーナー個人名)さんの取り扱い説明書」とある。

そして

「ほめると喜ぶよ」
「できたヘアスタイルを喜ぶともっと喜ぶよ」
「お腹がよく鳴るよ」
「少年ジャンプは毎週読んでるよ」
「ああ見えて、ラグビーやってたんだって!」
「二人の可愛い子供と遊ぶのが大好きなんだって」

と列記されたものだった。

この名刺に変えた途端に、お客さんとのコミュニケーションの質がまったく変わったと彼は言う。

例えば、裏面に書いてあることを題材に話題を振ってくれるお客さんが急激に増えた。なかには、以前名刺を渡した方が再来店した際、そこで「ジャンプの何を読んでるの?」とさらに突っ込んでくれることもあった。

私たちワクワク系の道を行く者にとって、お客さんとの最初の出会いはまさに「最初」であって、スタートラインだ。そこから絆を深めていくには名刺に何を書けばいいか。

それをきっかけにどういう会話が弾むといいか。次にどうつながればいいか。そこをみな考え、取り組んでいく。

だからこそ彼もさらにこの名刺をバージョンアップし、渡し方さえ工夫していくのだが、それにも興味がある方は、私のYouTubeチャンネルで語っているのでご覧いただきたい。

この時代、あなたもぜひ、名刺に一工夫を。

小阪裕司

小阪裕司 オラクルひと・しくみ研究所代表 博士(情報学)

山口大学(美学専攻)を卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。 新規事業企画・実現可能性検証など数々の大手企業プロジェクトを手掛ける。 また、「人の感性と行動」を軸にしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。 現在、全都道府県と海外から約1500社が参加。 22年を超える活動で、価格競争をしない・立地や業種・規模を問わない1万数千件の成果実例を生み出している。

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