「買取・下取に強くなる!」査定スキルアップ講座

自動車販売業や整備業、SSで車販を強化しようとした際に、極めて重要となるのが買取・下取です。適正な金額で買取・下取した車両を、小売りや業販で販売することで、大きく収益を伸ばすことができます。その際に避けて通れないのが、「査定」です。ここでは、査定のスキルアップを目的に、査定の手順や修復歴の見分け方を解説します。
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査定に入る前に

クルマはお客様の大切な資産です。そのため、その資産を正しく評価する『査定』は非常に重要な意味を持ちます。
また、販売店(買取店)にとっても、中古車という商品の仕入れ価格の判定に繋がるものであるだけに、 『査定』はお客様にとっても、販売店(買取店)にとっても、公正な価格を算出する非常に重要な業務となります。

査定に必ず守らなければならない順番はありませんが、同じクルマを査定したとしても、人やその手法によって、結果に差が出てしまうようでは、正確な査定が出来ているとは言えません。

車の査定

このような差をできる限りなくすためには、査定の手順を一定にさせ、『見落とし』を防ぐことが極めて有効な手段となります。加えて、お客様から大切な時間を頂いているわけですから、きわめて短時間で、正確な査定を行うことが求められます。

ここでは、具体的な査定の手順を解説いたします。この手順に従って正確に、しかも効率よく、作業が進められるように査定技術を身に付けてください。

【査定に必要となる道具】
バインダー、ライト、ボールペン、鏡、この4点が査定には必要です。更にあると便利なものとして、クリップ外し、
ドライバー、ラチェットレンチ、トルクスビット等のカバーや内装を外す道具があります

車の査定に必要な道具車の査定に必要な道具

査定の手順

査定の手順、車両前部、エンジンルーム、車両側部、車両後部、車両屋根部

車両全体の印象

【全体的な印象】ナンバープレート 全体の印象
 少し離れた場所から車両全体を眺め、全体的な印象とナンバープレートの状態を確認します。
 全体の印象で、注意しなければならないのは、以下となります。

少し離れた場所から車両全体を眺め、全体的な印象とナンバープレートの状態を確認車両全体の印象
確認ポイント

 

査定をする際には、周囲に障害物のない場所へ車両を移動させて行うことが大切です。壁に寄せて車が止めてある場合、 壁側の外板が確認出来ず、ドアを開閉できないために、ドア交換の有無やピラー類の点検が不可能です。
また、夜間や屋内駐車場の中などの明るさが不十分な環境や雨天時の査定などは、外板塗装跡の有無や修復歴、車体色の 違いを見落とす原因となります。査定に適した環境条件を確保することも、『見落とし』を防ぐために重要となります。

運転席と室内の確認

1.車検証の転記
車検証を見ながら、査定票へ車両情報を転記していきます。必ず車検証の原本を確認し、コピー等を使用してはいけません。
初度登録年月・車台番号・型式・車検満了日・乗車定員・型式指定番号・類別区分番号などの情報を転記していきます。

2.オドメーターの走行距離数の転記
オドメーター数値をトリップメーター等と間違えないように注意して転記します。
輸入車では、マイル表示の場合があるので注意が必要です。不自然に色が変わっていたり、メーター周りの内装に違和感がある場合、メーター改ざん車の疑いがあります。

オドメーターの走行距離数の転記

3.整備手帳等の付属品確認
自賠責保険証・取り扱い説明書・整備手帳・新車保証書・整備記録簿・リサイクル券などの有無を確認します。 新車保証書・整備記録簿の定義を間違えないように注意が必要です。

整備手帳等の付属品

4.装備品の確認
室内で確認できる装備品を確認し、査定票へ記入します。装備品を確認する際に注意しなければならないのは、
①純正・社外の確認、②装備品の作動確認の2点となります。

【室内で確認できる装備品】
  ■オーディオ関係
   CD・MD・ナビ・TV・社外スピーカーなど
  ■サンルーフ
  ■パワーウインドウ
  ■パワーシート&シートの材質
  ■電動カーテン
  ■エアバックなど
 
 

  

【室内だけでは確認できない装備品】
  ■エアコン
   スイッチのみでの確認ではなく、コンプレッサーの有無を確認
  ■ABS
   インジケーターのみでの確認ではなく、ユニットの有無を確認
  ■パワーステアリング
   ハンドル操作での判断ではなく、オイルタンクやポンプ
   (電動式は装置)を確認
  ■工具・ジャッキなど
 

オーディオ関係サンルーフエアコン

 

併せてATやMTの状態を確認する必要もあります。A/Tは、アイドリング状態で各変速段位(各レンジ)にセレクトし、各ギヤがスムーズに入れ替えられるか点検し、それと同時にタイムラグテストを行ないます。

AT

NレンジからDレンジまたはRレンジにセレクトしてから、変速ショックが何秒後にあるか測り、ミッションの作動状態を点検します。タイムラグが2秒以上あるものは注意が必要です。



M/Tは、クラッチペダルを踏み込み各変速段位にギヤがスムーズに入れ替えられるか点検します。アイドリング時に異音が発生している場合は、クラッチを切ってその異音が止まる場合にはミッションの本体に何らかの原因があると考えられます。

MT

5.内装の状態
シートや内張りの破れや汚れ・タバコ穴、ダッシュボードの割れ・ビス穴、天井の汚れ・たるみ、部品の欠品などを確認します。外装とは違い、内装は補修するのが難しいため、レザーシートや天井などのダメージは大きな減額になる ケースがあります。後席はもちろん、折りたたみ式のサードシート等、面倒でも広げて確認する必要があります。
ペットの毛や悪臭なども大きく減点されますので、見逃しがないように注意が必要となります。

サードシートも広げて確認シートにコゲ穴ありダッシュボードのノリ跡、ビス穴社外シート・ステアリング・ロールバー

 

また、ステアリングやシートなど社外品に交換されている場合、ロールバーの設置など車内に改造を施している場合は、注意事項への記載が必要です。

シートやアームレストのすれ・へたり、ハンドルのすれ、ペダルのゴムの減り具合、シートベルトのすれなどを確認し、走行距離に比べ、室内の消耗度合いが激しい場合は、メーター改ざん車の疑いがあります。
また異臭やフロアカーペットの異常なシミが有る場合、冠水車の疑いがあります。

エンジンルームの確認

1.車台番号とコーションプレートの確認
エンジンルーム内には、その車両の車台番号が打刻されています。
また、エンジンルーム内に設置されているコーションプレートにて、下記の内容を確認できます。
・車台番号 ・型式 ・モデルコード(通称型式) ・カラーナンバー ・エンジン型式

エンジンルームの確認エンジンルームの確認

 

この車台番号とエンジン型式が、車検証に記載のものと一致しているかを確認します。
盗難車であったり、登録間違いなど、まれに一致しない場合があります。

また、最近の車はコーションプレートがエンジンルーム内に無かったり車台番号がカバーに覆われていたりします。
各車ごとに何処にあるのかわかるようにしておきましょう。
コーションプレートとカラーナンバーについては、別紙資料にて各メーカーごとの位置や読み取り方を解説しておりますので、参考にしてください。

2.エンジン及び各補記類の確認
エンジンや補機類が正常に機能しているか、エンジンルーム内を確認します。
各種オイルや冷却水の漏れ・不足がないか、エンジンやエアコンのコンプレッサーなどが、異音を発していないかを確認しましょう。また、エアクリーナーやターボチャージャーなど、社外品が装備されている場合には、注意事項に記載しましょう。

エンジン及び各補記類の確認

3.エンジンルーム内の加修歴の確認
車両前部の加修歴は、取り付けビスや接合部の溶接の状態などを確認することで判別します。ボンネットやフェンダーの交換歴やラジエターコアサポートの取付ビス・シーラー・スポット溶接跡を確認することで、加修の有無が判断できます。
コアサポートに加修が及んでいる場合は、事故による修復歴があるものと想定して、インサイドパネルやクロスメンバー等の確認で、修復のレベルを判別します。判別方法の詳細については以降のパートで解説いたします。

ボディの確認

手順に従い、ボディ状態の以下の3点を確認していきます。

【確認するポイント】

■外 板 パ ネ ル の 傷・凹 み:査定票の表記は傷は「A」、凹みは「B」もしくは「U」と記入します。
■外板パネルの塗装・板金歴:査定票の表記は「W}と記入します。
■外 板 パ ネ ル の 交 換 歴:査定票の表記は「XX」と記入します。要交換の場合の表記は「X」と記入します。

※査定票の表記方法は別紙資料にて詳しく解説しております。

傷・凹みの見落としや傷・凹みの大小の相違、板金・交換の判定など、個人によって差が生じやすいパートとなります。
正しい判定方法と評価の基準を把握し、査定にのぞむ必要があります。

1.外板パネルの傷・凹み
大きなキズや凹みはすぐに見つけられますが、小さな傷や浅い凹みは見落としがちです。
太陽や照明を背にして、斜めから見ることで、発見できるものがあります。
また、近くの部位に集中するのではなく、一歩離れて確認することも必要です。
サイドシル下部のキズや凹み、ルーフの凹みなどは見落としがちですので注意が必要です。

凹みを伴わない傷(小)凹みを伴う傷(中)傷を伴わない凹み(中)交換が必要なレベルの傷・凹み(大)

 

2.外板パネルの塗装歴・板金歴の確認  3.外板パネルの交換歴の確認
2・3については次のパートにて詳しく解説いたします。

鈑金・交換有無の確認

STEP② 運転席と室内を確認したのちに、車両前部の査定となりますが、以降査定を行うにあたり板金・交換の有無を確認することが重要となります。また、査定の手順は外から内が基本となります。 なぜなら、車両の損傷の際、衝撃は外から内(外版から骨格)という流れです。外板に問題がなく、骨格だけ損傷を受ける事は例外を除きありえませんので、査定の手順は 衝撃の伝わり方を考えながら、外から内を見ていくことが基本となります。したがって、骨格部分の修復の有無を確認する以前に板金・交換有無を確認するという手順となります。 しかしながら、雨天時に査定をしなければならない等の環境要因によって板金の有無を確認できない場合があります。そうした場合、先にパネルの取り付け状況や骨格を確認することが優先 されます。同様に車両が汚れている、洗車キズやウォータースポットが多い、色アセで板金が判断出来ない場合にも手順を変更する必要があります。

■板金有無の確認
 ①離れた距離から全体を確認する。
 【確認するポイント】
 ■色調の違い
 ■景色の写り込み

  

 ②近くから確認する
 【確認するポイント】
 ■塗装面の肌を確認する(ゆず肌、ゴミ、気泡を探す)
 ■パテ目(ペーパー目)を探す
 ■マスキング跡を探す

■色調の違い
全体的に色が同一かを確認します。離れて全体を見ることで、近接するパネルとの色調の違いが確認することが出来ます。色調の違いが確認できた場合、再塗装の可能性があります。

後部ドアのみ色違い塗装

 

■景色の写り込み
外板に写り込む景色が、どのパネルも均一かどうかを注意して確認します。写り込む建物の端の線など、直線で続く景色が分かりやすく、 特定のパネルだけボヤけていた場合や写り具合が他と違う場合は再塗装の可能性があります。

景色の写り込み

鈑金・交換有無の確認

■塗装面の肌を確認する
新車時の塗装表面は、鏡のようにツルツルとなっておりますが、再塗装した場合、表面の状態は新車時と異なります。離れてみた際に違和感を感じたら、周辺部位の表面との違いを確認することが必要です。表面の 違いにはツルツルの状態ではなく、ブツブツとした再塗装の跡があります。再塗装ではスプレーガンで吹き付けるため、広い部分は塗料がのりやすく塗膜も均一になりますが、角や端の部分では塗装が薄くなります。こう いった部分がもっとも肌の違いを確認できます。

塗装面の肌を確認する

【塗装面の肌の違いを発見しやすいポイントの例】
塗装面の肌の違いが発見しやすいポイントを把握し、指の腹で触って確認することも有効な判別の手法となります。

■パテ目(ペーパー目)を探す
凹んだ外板パネルを直す際、凸凹を埋めるためにパテを使用します。パテを盛って成型して再塗装した場合、パテの表面にわずかな凹みがあっても、下塗り塗装が凹みを埋めて、表面がきれいに仕上がる場合があります。この場合、修理終了後数ヶ月で パテ目に塗料が沈み込み、パテ目・ペーパー目となります。また、そもそもの仕上げ不良により確認できる事もあります。

パテ目

パテ目・ペーパー目は整形に苦労しそうな角や端・アールのきつい箇所といった部分が確認しやすいポイントです。

 

■マスキング跡を探す
塗装をする際、塗料が付いてはいけない部分を隠すためにマスキング作業をします。マスキング跡を確認することで再塗装であると判断することが出来ます。マスキング跡は爪でなぞると引っかかり、そこを境に塗装の肌や色調が異なります。 カバーやモールといった直接視認できない箇所で塗り分ける場合もあり、トリムカバーを外さないと確認できないこともあります。シールを再使用するためにマスキングする場合もありますので、シール周辺も確認します。

マスキング跡①マスキング跡②マスキング跡③

 

外板パネルを再塗装する場合、ドアモールを境に塗り分けたり、リアゲートでは、一枚もののパネルに段差があると段差部分で塗り分けるというパターンがあります。 この場合、ぶつける可能性の高い下半分に多く見られるため、塗装の肌や波を見る際には視界に入りにくい所に注意が必要となります。外板から骨格、衝撃の入る方向、 隣接する部位の状態、これらを総合的に判断することで、確認する事ができます。

ドアモールリアゲート

 

■交換有無の確認
外板パネルに再塗装を確認した場合、次に外板パネルの交換有無を確認します。塗装をしている場合は、パネルを板金修理・新たな部品交換後の塗装の2パターンがあります。また、外板パネルには、取り付け方法が2種類あります。

【外板パネルの取付方法】
 ■ボルト留めパネル《主なボルト留めパネル》
  ・ドア ・ボンネット ・トランク
 ■溶接留めパネル《主な溶接留めパネル》
  ・クォーターパネル ・バックパネル ・ルーフ
【例外】
 フロントフェンダーはボルト留め・溶接留め共にあります

 

交換の有無を確認するポイントは、以下の3点となります。

【確認するポイント】
 ■ボルトに工具をかけた跡を探す
 ■シーラントの形状・硬さの確認
 ■再スポット溶接跡を探す

 

■ボルトに工具をかけた跡を探す
ボルトにより接合されているパネルを交換するために工具をかけた場合、ボルトに工具をかけた跡が残ります。 これを発見することで、パネルの交換歴を確認できます。ただし、調整等で工具を使用した場合もあるので、工具跡=交換とは判断できません。 例として、フロントフェンダーでは、エンジンルーム内のボルトのみに工具跡があった場合は調整、ドア側から奥のボルトまで 工具跡があれば交換済みであると判断する事が出来ます。
一部のみで判断せずに、塗装の有無と併せて総合的に判断する事が必要です。

ボルトに工具をかけた跡①ボルトに工具をかけた跡②

 

■シーラントの形状・硬さの確認
シーラント(シーラー)とは、鉄板の継ぎ目や折り返し部分に塗布されるものです。修復後のシーラントは、乱れていたり、爪で押すとプチプチと割れます。
目視で形状を確認すると同時にシーラントの硬さを確認したところ、パネル全体のシーラントが塗布されていた場合には交換歴があると判断できます。
一部のみであった場合は修正と判断することが出来ます。

シーラントの形状・硬さの確認

 

■再スポット溶接跡を探す
スポット溶接とは、自動車の生産に用いられる金属の接合法の一種で、圧着しつつ電流を流してその抵抗熱で接合するものです。
スポット溶接は、スポット部分にドリルで穴を開けてから鉄板をはがします。車内に鉄の削りカスや、再度スポット溶接をした際のコゲ痕 など一見して目視しにくい場所での確認となりますが、外板に交換歴を確認した場合には、ドア枠周りのウエザーストリップや内張りを はずしての確認を必ず行いましょう。また、視認が可能な箇所に付いては、左右の違いから判断することが出来る場合が有ります。

再スポット溶接跡

【査定時のワンポイントアドバイス】
■左右の見比べ

外装を見ているとヘッドライトの状態が左右で異なる場合があります。こういった場合、片側をぶつけたことにより交換している可能性があり、内部の骨格に損傷が及んでいることがあります。左右を見比べながら全体を確認することが大切です。

また、ある特定の部位を見ていて、迷った時も左右を見比べることが有効な手段となります。
下記の写真では、右が新車状態、左が修復状態となります。

判断に迷った場合、こういった違いを発見する事で判断の決め手を得ることができます。シーラーの状態などは左右見比べて査定を行うことが重要です。

ヘッドライトの状態①ヘッドライトの状態②

ガラス・灯火類・ホイール等の確認

1.各ガラスの確認
窓ガラスやサンルーフのガラスに、ヒビやワレがないかを確認します。
フロントガラスの場合は、飛び石やワイパーによるキズがつきやすいため十分に確認します。
また、フロントウインドウや運転席・助手席への着色フィルムの貼り付けは、法律により禁止されております。

2.灯火類の確認
ヘッドライトやテールレンズに割れやヒビがないかを確認します。
また、ライト類やウィンカーが正常に作動するかも確認します。

社外品や後期型に変更されている場合は査定票に注意書きをしましょう。

灯火類の確認

3.アルミホイールやタイヤの確認
社外品のアルミホイールが装着されている場合は、加点となることがあります。
ホイールの種類やタイヤのサイズを確認して、査定票に記入しましょう。また、ホイールのキズやタイヤの減り具合も忘れずに査定票に記入しましょう。

アルミホイールやタイヤの確認

4.その他社外品の確認
エアロパーツ・社外足回り・マフラー等の装着及び交換がないか確認します。
いずれも評価は加点となる場合がありますが、交換されている事を確認出来ていなかった場合、オークションではクレームの対象となることがありますし、ユーザーに販売するにあたって問題となる場合があります。
エアロパーツについては、フルエアロの表記はクレーム対象になりえるので、パーツごとの名称で表記します。

後半は「修復歴の見分け方」を解説します。
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